2025.10.24

採用ブランディングとは?進め方や活用できるフレームワークも紹介

# Branding

採用ブランディングとは、企業が求める人材に「ここで働きたい」と感じてもらうためのブランド戦略です。求人広告や条件だけでは差別化が難しい中、採用の成否は企業の“印象設計”にかかっています。

本記事では、採用ブランディングの定義や目的、導入するメリットと課題、実践の5ステップ、活用できるフレームワークを紹介します。

採用ブランディングとは?


採用ブランディングとは、採用のための“ブランドづくり”のことです。企業が「どんな会社で、何を大切にし、どんな人に来てほしいか」を言語化し、候補者の目に触れるあらゆる接点で一貫して伝える取り組みを指します。

具体的には、下記のような魅力を求人票や採用サイト、SNS、説明会、社員発信、選考体験まで通して整え、同じメッセージで届けます。

  • 企業文化
  • 働き方
  • ミッション
  • 成長機会 


結果として、自社に最適な人材からの応募を促進し、採用効率の向上や定着率アップにつなげることが狙いです。

採用ブランディングが注目されている理由

採用ブランディングが注目されるのは「自社に合う人材に選ばれ、入社後も定着してもらえる確率を高められる」からです。

少子高齢化で労働人口が減少し、有効求人倍率が高い水準で推移しているため、採用競争が激化しています。結果として、入社3年以内の離職率が高止まりし、ミスマッチを減らして定着を高める必要性が増しています。

SNSの普及により求職者が膨大な企業情報を手軽に比較できるようにもなり、企業はターゲットを明確にしてメッセージを一貫させなければ、魅力を印象づけられません。

加えて、DXの進展によってオンライン説明会や動画で社内の雰囲気を具体的に伝えられるようになり、候補者は社員の声や職場の空気感を求めるようになりました。

この環境の変化に対応するため、企業は多様な発信手段を整え、意図的に「選ばれる状態」を設計する必要があります。

採用ブランディングに取り組む5つのメリット


採用ブランディングを強化することで、多様なメリットを企業は享受できます。ここでは、採用ブランディングに取り組む5つのメリットを紹介します。

企業の知名度を広げられる

採用ブランディングに取り組むと、企業の知名度を広げられます。これは、自社のビジョンや働き方を一貫したメッセージで継続発信することで、業界になじみの薄い層にも情報が届き、将来の候補先として想起される機会が増えるからです。

具体的には、SNSやオウンドメディアで月次の発信計画を回し、全チャネルで表現を統一して到達と想起を高めます。さらに、社員インタビューや現場動画で魅力を具体化し、採用サイトの記事へ内部リンクで回遊させることで接点を増やします。

結果として、認知が高まるほど応募見込み層が広がり、外部からの信頼や好感も向上して選考につながる接点が増えていきます。

自社に合う人材からの応募が増える

採用ブランディングに取り組むと、自社に合う人材からの応募が増える可能性が高まります。

企業理念や職場風土、働き方を一貫したメッセージで可視化すると、求職者が入社後を具体的に想像でき、共感した人が応募しやすくなります。価値観やキャリア観が合わない人は自ら応募を控えるため、ミスマッチの応募を減らすことも可能です。

その結果、面接通過率の向上や選考工数の削減につながり、内定辞退や早期離職のリスクも下がります。

同業他社との差別化につながる

採用ブランディングに取り組むと、同業他社との差別化を実現できます。求職者は業界や職種を絞って比較検討するため、発信が似通う企業は「選択肢の一つ」に埋もれやすいからです。

採用ブランディングに取り組み、自社ならではの理念や成長ストーリー、働き方を一貫したメッセージで見せると、候補者の記憶に残る独自価値を築けます。そのため「他社ではなくこの会社で働きたい」と感じる応募が増え、応募の質や入社後の定着にも良い影響が生まれます。

採用コストを抑えられる

採用ブランディングに取り組むと、採用コストを抑えられます。自社の魅力を一貫したメッセージで継続発信すると、指名検索や自然流入が増え、有料広告や仲介への依存度が下がります。

また、発信内容に共感した応募見込み層が集まるため、書類通過率や面接通過率が上がり、面接回数や担当者工数を削減できます。結果として、選考全体の人的コストが下がり、採用コスト率(採用コスト÷採用人数)も低減します。

社員のモチベーションや定着率が高まる

採用ブランディングに取り組むと、社員のモチベーションが高まり、定着率を向上させられます。

ミッションやビジョン、働き方を一貫したメッセージで社内外に発信すると、社員が「自分は何のために働くのか」を再確認できます。目的意識が明確になることで主体性が生まれ、チーム内の協力や情報共有が活性化します。

その結果として、仕事への納得感が高まり、離職への傾きが小さくなります。さらに、取り組みの成果を見える化して称える場を設けると、ポジティブなフィードバック循環が生まれ、日常的な動機づけを維持できます。

採用ブランディングに取り組む際の2つの課題

採用ブランディングは自社の魅力を高める有効な手法ですが、多くの企業が着手時に壁にぶつかります。ここでは、採用ブランディングに取り組む際の2つの課題を紹介します。

効果が出るまでに時間と労力を要する

採用ブランディングは即効性が低く、成果の実感まで時間と労力がかかります。
効果は「認知・想起→理解・共感→応募の質→選考歩留まり→定着率」と段階的に波及し、各段階にリードタイムが生じます。検索やプラットフォームの評価も蓄積型で短期最大化が難しいためです。

効果は少なくとも1年を見込み、採用サイトやSNSで一貫メッセージを継続発信し、社員ストーリー等の一次情報を積み上げつつ、指名検索数や一次辞退率をKPIにしてPDCAを回しましょう。

全社員を巻き込む体制づくりが欠かせない

採用ブランディングは、経営から現場まで同じ基準と行動で運用できる体制を整えてはじめて機能します。発信内容と職場の実態にズレがあると入社後の失望を招き、早期離職や評判低下につながるためです。

体制づくりの例として、定期ワークショップで理念と行動指針を共通言語化し、部門横断の意見交換で現場の実態を反映します。次に、その指針を評価制度・目標管理に連動させ、日々の行動に落とし込みます。

併せて社内ツールで好事例を共有し、アンバサダーを育成して発信役に据えることで、メッセージが日常業務に根づく運用サイクルを回せるでしょう。

採用ブランディングの進め方|5ステップ


採用ブランディングを効果的に進めるには、成長期の課題や市場環境を踏まえた戦略的アプローチが求められます。ここでは、採用ブランディングの進め方について紹介します。

【ステップ1】自社の現状を把握し、競合と比較する

まず、自社の立ち位置と強みを把握し、他社との違いを明確にすることが重要です。

自社の特徴を理解しないまま発信すると訴求内容がぼやけ、求職者に響くメッセージを作れません。自社の魅力を整理したうえで他社と比較すると「自社ならではの価値」を見つけ出せます。

そのため、以下の観点から自社の特徴を幅広く書き出し、強みとして打ち出せる要素を整理します。

  • 理念
  • 社風
  • 働き方
  • 福利厚生
  • 成長機会 など


次に、同業他社の採用サイトやSNS発信を確認し、訴求内容を比較します。最後に、自社だけが提供できる魅力を抽出し、今後のメッセージ設計の軸とします。

【ステップ2】採用ターゲットを具体的に設定する

自社の現状を把握したら、採用したい人材像をペルソナで具体化し、発信内容とチャネルを明確にします。

抽象的なターゲットのままでは、訴求がぼやけて響きません。人物像を細部まで定めると、どの価値を強調し、どこで・どの言葉で伝えるかが決まります。採用チーム内の認識もそろい、無駄打ちが減ります。

例えば「首都圏在住の30代エンジニア」では幅が広すぎます。下記のように具体化すると「成長機会」「担当領域の広さ」など訴求軸や、使うチャネル・キーワードが自然に定まります。

  • 江戸川区在
  • 32歳
  • オンラインゲーム好き
  • 一次請けから元請け対応へステップアップ志望

【ステップ3】採用コンセプトを設定する

ペルソナが固まったら、採用活動の核となる「採用コンセプト」を設定します。かっこいいキャッチコピーではなく「応募者に自社の何を伝えたいか」を軸に社内で多くのアイデアを出し合いましょう。 

アイデア出しでは、採用メンバーや現場社員を巻き込み、自社の魅力や強みを具体的なフレーズに落とし込みます。ペルソナとのずれがないかを確認しつつ、応募層に刺さる表現を選びましょう。 

コンセプトが固まったら関係者全員に共有し、一人一人が自分の言葉で語れる状態をつくります。こうして一貫したメッセージを求人票や説明会、SNSに反映すれば、ターゲットに響く採用ブランディングが実現します。

なお、採用コンセプトは市場や組織の変化で陳腐化しやすいため、定期的に見直し、ペルソナとの整合性を保ちましょう。

【ステップ4】採用広報や候補者体験をコンセプトに沿って整える

採用コンセプトの策定が完了したら、広報チャネルと発信内容を見直しましょう。公式サイト、SNS、求人媒体、オウンドメディアなどで「誰に」「何を」「どう伝えるか」をコンセプトと照らし合わせて点検し、情報のズレを防ぎます。

会社説明会や面接、内定者フォローの各プロセスでもシナリオを整え、トークスクリプトや資料、メール文面に至るまで一貫性を確保します。

さらに、動画コンテンツや社員インタビューを活用してコンセプトの魅力を立体的に伝えるほか、候補者アンケートで体験の手ごたえを可視化し、PDCAを回せる仕組みを作ることも重要です。 

採用サイトから内定承諾まで一気通貫した体験が実現すれば、企業イメージが強化され、応募意欲を高める相乗効果が期待できるでしょう。

【ステップ5】継続的なPDCAで採用ブランディングを強化する

採用ブランディングは一度実施して終わりではなく、長期的なPDCAサイクルの継続が欠かせません。 まずは採用数や応募者数、内定承諾率といったKPIを設定し、人材採用に直結した成果を定量的に把握しましょう。

次に定期的な振り返り時期をあらかじめ計画します。アンケート調査や入社者ヒアリング、エージェントからの声など多角的なデータを収集し、現状の課題を明確化します。

最後に得られた知見をもとに、採用コンセプトや広報チャネル、面接フローをアップデートします。改善策の効果を再度計測し、理想の採用体験を追求し続けることが、強い採用ブランディング実現への近道です。

このPDCAサイクルを繰り返すことで、採用ブランディングは組織の成長エンジンへと進化します。

採用ブランディングで活用できるフレームワーク


採用ブランディングを効果的に進めるには、PDCAだけではなく、体系的に現状把握や戦略策定を支えるフレームワークの活用が有効です。ここでは、採用ブランディングで活用できるフレームワークを紹介します。 

3C分析|採用ブランディング初期に役立つフレームワーク

3C分析は、採用ブランディングの初期段階で自社の立ち位置を客観的に把握するフレームワークです。下記3つの視点から、採用ターゲットに響く訴求ポイントを洗い出しましょう。 

顧客(Customer)

  •  採用市場における候補者数や業界の求人倍率
  •  求職者が企業選びで重視する条件 


競合(Competitor) 

  • 競合企業の採用ポジションや待遇 
  • 採用手法、サービス内容の比較


自社(Company) 

  • 業界内での自社ポジションや独自の強み
  • 採用手法、待遇・福利厚生、過去の採用実績


これらを整理することで、自社だけが持つ魅力を明確化し、採用ブランディングの土台を固められます。

SWOT分析|採用コンセプト立案に活かせる手法

SWOT分析は、採用コンセプト立案に有効なフレームワークです。自社の内部環境と外部環境を、以下の4つの要素で具体的かつ相対的に整理しましょう。

  • 強み(Strength)…技術力、商品・サービス、社風など他社に勝るポイント 
  • 弱み(Weakness)…事業規模、人材不足、知名度など課題となる要素
  • 機会(Opportunity)…市場拡大、規制緩和、海外展開など追い風要因 
  • 脅威(Threat)…競合他社の価格攻勢、採用競争激化、規制強化など向かい風要因


分析後は、抽出した要素を掛け合わせて戦略に落とし込みます。例えば、強みである「充実した育成制度」と、脅威である「若手採用の難しさ」を組み合わせ、若手育成に特化した環境を採用コンセプトとして設定します。

あわせて、弱みを逆手に取る視点を加えることで、他社との差別化をより鮮明に打ち出せます。

4C分析|採用メッセージと発信方法を考える視点

4C分析は、マーケティングの4Cを「ターゲット人材」の視点に置き換えたフレームワークで、採用メッセージと発信方法の策定に役立ちます。
 

  • 顧客価値(Customer Value)…待遇や職場環境、成長機会など応募者が重視する価値を整理 
  • 負担(Cost)…残業や転勤リスク、キャリアへの不安など応募者の懸念を洗い出し 
  • 利便性(Convenience)…応募手続きや面接の手間・時間、情報収集のしやすさを評価 
  • コミュニケーション(Communication)…情報接触チャネル、応募後のやり取り方法を検証


4C分析で自社の魅力を明確化し、効果的な採用メッセージと最適な媒体選びにつなげましょう。

縁達磨では縁起こしブランディングで商売繁盛を支援

縁達磨は、採用で「働きたい理由」を明確にし、応募から入社・定着まで一貫した体験として届ける仕組みづくりを支援します。理念や価値観を採用の文脈に丁寧に落とし込み、候補者が共感できる物語と基準を整えます。

また、戦略の設計から運用・改善までを通して伴走し、成果を可視化しながら継続的に磨き込んでいきます。短期の募集力を底上げしつつ、中長期では“第一想起される雇用主”の確立を目指し、採用の質と定着の両立を図ります。

「どこから始めればよいか分からない」という段階からご相談いただけます。課題の整理から合意形成、実行と振り返りまでを一気通貫で支え、持続的に選ばれる採用基盤を築いていきます。

商売のお悩みはいつでもご相談ください

採用ブランディングは、企業の魅力を市場に発信し、優秀な人材と自社をつなぐ強力な手段です。知名度向上や応募者の質改善、採用コスト削減、社員定着率の向上など、さまざまなメリットを享受できます。

本記事で紹介した【Step1】現状把握から【Step5】PDCAによる強化までの5ステップと、3C分析・SWOT分析・4C分析を活用すれば、採用戦略を体系的に設計できるでしょう。 

さらに縁達磨の縁起こしブランディングでは「心・敵・技・体・動」の5工程で企業力を磨き上げ、商売繁盛を実現します。採用やブランディングのお悩みは、いつでもお気軽にご相談ください。

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