
2025.09.28

ブランドやサービスの印象を一言で伝える「タグライン」。耳にしたことはあっても、「キャッチコピーやスローガンと何が違うの?」「自社には必要なの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。
本記事では、タグラインの意味や必要性を解説するとともに、他社の事例や作り方のステップを紹介します。

タグラインとは、企業や商品・サービスが持つ価値や想いを、短い言葉でわかりやすく伝えるために作られたフレーズです。
多くの場合、ロゴのそばや公式サイトのトップ、テレビCMなどで企業名と並んで表示されるため、正式に「タグライン」と意識していなくても「この言葉は知っている」と感じる方が多いのが特徴です。
「tagline」という単語は、下記から成り立っています。
つまり「識別のための一言」という意味合いを持ち、そのフレーズを見聞きした瞬間に「この会社や商品だ」と連想できるように設計されています。
タグラインは、単なる広告のキャッチコピーとは異なり、長期的に企業や商品の姿勢や価値観を象徴する役割を担います。
短く印象的な言葉で普遍的なメッセージを伝えることで、消費者の記憶に残りやすくなり、結果としてブランドの信頼や競合との差別化にもつながります。

タグラインとキャッチコピーは似た役割を持つため混同されがちですが、目的や使われ方に違いがあります。
タグラインは長期的に使用されることを前提としており、ブランドのビジョンや理想、普遍的な価値観を簡潔に表現します。企業やサービスの「変わらない姿勢」を象徴するのが役割です。
一方、キャッチコピーは広告やキャンペーンで用いられることが多く、短期的に消費者の注目を集め、購買や利用につなげることを目的とします。商品の特徴や魅力を伝える表現として使われるケースが一般的です。

タグラインとスローガンには、目的や役割に違いがあります。
タグラインは、ブランドの価値や哲学を長期的に伝えるフレーズであり、ブランドアイデンティティの一部として定着しやすく、めったに変更されません。例えば、Nikeの「Just Do It」はブランドの永続的なスピリットを象徴する代表的なタグラインです。
一方、スローガンは企業の理念やモットーを端的に表現したもので、社員の結束や共通意識を醸成するために用いられることが多い傾向にあります。
ただし、広告やキャンペーンなどで消費者に向けて発信されるケースもあることに留意してください。
タグラインは、企業やブランドの「価値や姿勢を一言で示す約束」であり、顧客との信頼関係を築くために欠かせません。
短い言葉に普遍的な価値を込めることでブランドアイデンティティが確立され、競合他社との差別化や市場における自社の立ち位置を明確にできます。
社内にとってもブランド戦略を進めるうえでの指針となり、社員が共通の価値観を理解・共有する基盤となります。

タグラインの理解を深めるには、抽象的な説明よりも実例を見るのが一番効果的です。
ここでは、国内外で有名な企業とそのタグラインを5つ紹介します。
ビジネスチャットツールのChatworkは、業務支援ツールとして、チャット・会議・タスク管理などの機能を提供してきました。
2022年にはタグラインを刷新し「シゴトがはずむ」という新しいフレーズを掲げています。この言葉には、社内業務がスムーズに進み効率化される様子を直感的に伝える意図が込められています。
業務支援分野で競合との差別化を図るための価値定位としても位置づけられ、ブランドメッセージをより強化する役割を担っています。
労務管理プラットフォームを提供するSmartHRは、従業員の生産性を高めるための人事・労務の効率化を、一気通貫で支援しています。
その姿勢を端的に表しているのが、タグラインの「Employee First.」です。「従業員を最優先に」という理念のもと、業務効率化を通じて社員一人ひとりの力を引き出すという意思が込められています。
近年は、多くの企業が『社員を大切にする』姿勢を打ち出しています。SmartHRも社内文化としてその姿勢を重視しており、タグライン『Employee First.』はその価値観を象徴するものです。
ウォンテッドリーは、ビジネスSNSを通じて「人と企業の運命的な出会いを創る」というビジョンを掲げています。
ビジョンを端的に表現したのが、タグラインの「シゴトでココロオドルひとをふやす」です。
このフレーズには、人々が生き生きと働く姿を増やし、その姿に触れた周囲の人も新しい挑戦に踏み出すことで、前向きな連鎖を生み出したいという想いが込められています。
さらに、単なる人材紹介にとどまらず、将来的にはHR Tech企業として進化し、経営課題の相談先としても選ばれる存在を目指す決意を示しています。
ネットプロテクションズは、BNPL(Buy Now Pay Later)サービス「NP後払い」や「atone」を中心に、決済業界で革新的なサービスを展開してきました。2022年には、MVVの再構築に合わせ、タグラインも刷新しています。
新しいタグライン「つぎのアタリマエをつくる」は、従来の常識を打ち破り、新しい価値を社会に広げていくという使命感を端的に表したものです。単なるキャッチコピーではなく、長期的なビジョンやミッションと密接に結びついた言葉といえます。
サイボウズは「kintone」や「サイボウズ Office」などのグループウェアを展開し、チームワークの強化と働き方改革を支援してきた企業です。
同社が掲げるタグラインは 「チームワークあふれる社会を創る」 であり、企業理念(Purpose)として公式サイトでも打ち出されています。
このフレーズには、単なるツール提供にとどまらず、社会全体でチームワークを活性化させたいという想いが込められており、同社のビジョンやミッションと強く結びついたメッセージとなっています。

タグラインは、ブランドやサービスの使命や価値を伝える言葉です。シンプルで記憶に残りやすいフレーズですが、それを作るには、事業の根幹であるビジョンやミッションを明確にするところから始める必要があります。
ここからは、タグラインの作り方を紹介します。
タグラインを作成するうえで重要なのは、企業やブランドのビジョンとミッションを明確にすることです。
タグラインは、単なるキャッチコピーではなく、企業の存在意義や将来像を一言で表すものです。そのため、きれいな言葉を並べるのではなく、企業がどのような使命を持ち、どのような未来を目指しているのかという「土台」を整理する必要があります。
ビジョンやミッションを整理したうえで価値観と結びつければ、タグラインはユーザーの心に響き、ブランドアイデンティティを象徴する力を持つようになります。
タグラインに込めるメッセージが定まったら、それを端的に表す「価値を伝える言葉」を選びましょう。
タグラインは単なる装飾ではなく、ブランドの強みや提供価値をわかりやすく示すためのものです。その際に意識したいのが「インパクト」と「信頼性」の2点です。
インパクトは、認知を広げる力があります。メッセージにインパクトがなければ、メディアや顧客の記憶に残らず、一時的な効果にとどまるでしょう。
一方、短く強い表現であれば、繰り返し目にするうちに「この言葉=このブランド」という認知が定着していきます。
信頼性は、共感と支持を生みます。どれほど印象的な言葉でも、根拠や裏付けがなければ薄っぺらく見えてしまいます。
調査データや受賞歴、著名人やインフルエンサーの推薦といった「信頼を補強する要素」があることで、タグラインは説得力を増し、広く支持を得られるようになります。
価値を伝える言葉が決まったら、最後はコピーライティングです。重視すべきは「作りやすさ」ではなく「響きやすさ」です。相手の心に残るように磨き上げましょう。
この段階では、まず音の響きを意識することが大切です。リズムや繰り返しを取り入れることで、耳に残りやすくなります。
次に、意味の響きにも注目しましょう。同じ意味でも「好き」より「愛している」の方が強い感情を喚起できるように、言葉の選び方によって心への届き方は変わります。
さらに、響くだけでなく反響を生む言葉を意識してみてください。人に伝えたくなったり、SNSでシェアしたくなる表現は、多くの人に広がる力を持ちます。
縁達磨では、「縁起こしブランディング」でブランド戦略を設計し、価値を捉えたタグライン作りなどで企業の持続的な成長をご支援しております。
ブランディングやタグライン制作に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
縁達磨ではブランド戦略、デザイン制作、マーケティング支援をはじめ、お客様の商売繁盛を実現させるために幅広いご支援を行っています。
「タグラインを作りたい」「ブランディングを強化したい」と感じられた方は、お気軽にご相談ください。
皆さまとの新しいご縁を心より楽しみにしています。
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